”ぼく”は十数年ぶりに”アドランティス”のビーチに立つ。サーフトリップへ、共に旅立った仲間たちを思い出しながら。
―おれたちが生きたり死んだりすることなんか、ちっともたいしたことじゃない。死さえも消滅するようなすごい方法を、おれたちは知っている。いいか、それがサーフィンだ。―
この余りにもバイオレンスな帯裏の一説を読んで、引き込まれてしまったのが、この「イントゥ ザ サーフィン」。人間の狂気にも似た鋭い感覚が時折見え隠れする中に、美しい自然を表現する星屑のような言葉が随所にちりばめられている。
前半部分は現実的な描写で書かれているが、後半に差し掛かるにつれて、どんどん内容も言葉も抽象的になり、読み進めるにつれて、自分の中の本質的な部分を指摘されているような気持ちになってくる。
美しくて、切ない中に人間のグレーな部分もたくさん詰め込まれている一冊です。
じっくり、ゆっくりかみ締めながら読むといいのでは? |