Surf Diary用の写真を撮りに海へ行ったある夕方。
その日は雲ひとつないまっさらな空で、夕日はまん丸真っ赤でたいそうな代物だった。
撮影に没頭しているうちに、気がつくと早くも帰らねばならない時間になっていた。
「もうすぐ太陽が海に沈む瞬間なのに、もったいないな。。。」と思いながら、しぶしぶ引き上げることにした。
右手に海を見ながら、まだ沈まない太陽を未練がましくチラチラみながら運転していると、前方の横断歩道をスーツ姿の男の人が、腕の中にまだかなり幼い子供を抱えて猛ダッシュで渡っていく。
「なんだなんだ?!・・・誘拐?」
なんて物騒なこと考えながら、見てると横断歩道を渡り終えた男の人は、安心したように笑い、子供を少し高い位置に抱えなおしながら海に向かって、立ち止まった。
推測するに、仕事帰り、夕日がきれいなことに気づいたお父さんは、自分の愛するわが子にもこの夕日を見せてあげたい!
と思って、急いで帰り、帰るや否や子供を抱えて、猛ダッシュしたに違いない。
まだ言葉も話せないであろうと思われるその子に、その日お父さんが見せてくれた夕日はどんな風に映ったのだろう。
将来、覚えているか覚えていないか分からないけれども、暖かい思い出として感触的に残るんだろうなー。
なんて思いながら、ちょっと幸せな気分になれた。
夕日を見るなんて本当に日常的で些細なことかもしれないけど、それを一生懸命子どもに見せようとするお父さんてすごく素敵だと思う。
夕方よく海を見る人や夕日の写真をよく撮る人は知っていると思うが、「夕日の写真を撮る」ということは結構一分一秒が勝負となってくる。
太陽の動きなんて結構のんびりしてると普段は思っているけれども、沈むときはすごく早い!
「あっちのポジションのほうがいい絵が撮れそう。」
と思って、移動している間に、太陽や空の色が変わってしまったり、太陽が雲に隠れてしまったりして、がっかりすること限りなし。。。
まあ、そんなわけで、お父さんが猛ダッシュする気持ちもよーく分かった。
いいダッシュっぷりでした。お父さん。ナイスダッシュ(部活風)!
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